「オーストリアって、外国人が不動産買えるんですか?」
——この質問、意外と多いんです。
結論から言えば、ウィーンは外国人にとって「比較的買いやすい」市場です。同じオーストリアでもチロル州(キッツビュール)は外国人の購入がほぼ不可能ですが、ウィーンは承認を取れば購入できます。購入コストは物件価格の5〜11%、固定資産税は80㎡のアパートで月額約€10と安い。ただし、ゴールデンビザはなく、短期賃貸には厳しい規制があります。
この記事では、ウィーン不動産投資の実態を解説します。
ウィーン不動産市場の現状
2025年に入り、ウィーンの不動産市場は回復基調にあります。2024年は金利上昇の影響で一時停滞しましたが、2025年のモーゲージ金利は3.2%程度まで低下し、買い手の動きが活発化しています。
市場予測では、2025〜2026年にかけて年間4%程度の緩やかな価格上昇が見込まれています。新規賃貸物件の供給は年間約1,800戸と需要に対して少なく、賃料は年間5%程度の上昇が予測されています。
ウィーンって投資先としてはどうなんですか?派手な利回りは期待できなさそうですが。
正直に言えば、高利回りを求める人には向きません。でも「安定性」という意味ではヨーロッパでもトップクラスです。ウィーンは8年連続で「世界で最も住みやすい都市」に選ばれており、人口も緩やかに増加中。空室リスクが極めて低く、「買ったら確実に入居者がいる」市場です。
エリア別の価格と特徴
| エリア | 価格帯(€/㎡) | 利回り | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 1区(インネレシュタット) | €24,000〜30,000 | 2.5〜3% | 歴史的中心部、シュテファン大聖堂 |
| 高級エリア(ドブリング等) | €10,000〜15,000 | 3〜3.5% | 閑静な住宅街、緑豊か |
| 中間エリア | €6,500〜8,000 | 3.5〜4% | 市内平均、交通至便 |
| 郊外(フロリズドルフ等) | €4,000〜6,000 | 4〜4.5% | ファミリー層、学生需要 |
ウィーン全体の平均価格は€6,600〜7,050/㎡(2025年時点)。中心部の1区は€25,000/㎡を超えることもあり、東京・港区並みの価格帯です。一方、21区・22区などの郊外は€4,000〜5,000/㎡と手頃で、利回りも4%以上を狙えます。
2025年現在、ユーロ/円は160円前後で推移しています。€500,000の物件は約8,000万円。円安局面での購入はコスト増になるため、為替動向も考慮してください。
購入コストと税金
オーストリアの購入コストは、ヨーロッパの中では標準的な水準です。
購入時のコスト
| 項目 | 税率・費用 |
|---|---|
| 不動産取得税(Grunderwerbsteuer) | 3.5% |
| 土地登記料 | 1.1% |
| 公証人・弁護士費用 | 1〜2% |
| 仲介手数料 | 3% + VAT20% |
| 合計 | 5〜11% |
例えば€500,000の物件を購入する場合、取得コストを含めると€525,000〜€555,000程度が必要です。仲介手数料は売主・買主の折半が一般的ですが、交渉次第です。
固定資産税はどのくらいかかりますか?
これがウィーンの魅力の一つです。固定資産税(Grundsteuer)は評価額の0.2%未満で、80㎡のアパートで月額約€10程度。日本の固定資産税に比べるとほぼ無視できるレベルです。
賃貸所得にかかる税金
賃貸所得には所得税がかかります。非居住者の場合、累進税率(最大55%)が適用されますが、経費控除が幅広く認められます。管理費、維持費、ローン利息、減価償却などが控除可能で、実効税率は想像より低くなることが多いです。
なお、キャピタルゲイン税は30%(Immobilienertragsteuer)。10年以上保有しても非課税にはなりません。この点はドイツ(10年保有でCGT非課税)と比べると不利です。
外国人が購入する際の規制
オーストリアは州によって外国人規制が大きく異なります。ウィーンは比較的緩やかですが、チロル州(キッツビュール、インスブルック)は非常に厳しいです。
EU/EEA市民の場合
EU・EEA・スイス国籍の方は、オーストリア国民と同じ条件で購入できます。特別な承認は不要で、アパート、一戸建て、土地いずれも自由に取得可能です。
日本人(非EU)の場合
日本人を含む非EU市民は、ウィーン土地委員会(MA35)の承認が必要です。
- 申請から承認まで3〜6ヶ月程度
- 居住目的または収益物件としての利用を説明
- 農地・国境地帯の物件は承認されにくい
- 一般的な住宅用アパートは比較的承認されやすい
ウィーンは外国人に厳しい印象がありますが、実際どうなんですか?
オーストリア全体で見ると、ウィーンは「外国人に寛容な方」です。チロル州のキッツビュールは、外国人がセカンドハウスを買うのはほぼ不可能。でもウィーンは、承認手続きを踏めば購入できます。法人スキームを使えば承認なしで取得できるケースもあります。ただし、税務面のアドバイスは専門家に確認してください。
ゴールデンビザはない
ポルトガルやスペイン(2025年終了)とは異なり、オーストリアには不動産購入による居住権(ゴールデンビザ)制度がありません。物件を購入しても、それだけではビザは取得できません。
長期滞在するには、別途「居住許可」を申請する必要があります。不動産投資と居住権は切り離して考えてください。
短期賃貸(Airbnb)の規制
ウィーンはヨーロッパでも最も厳しい短期賃貸規制を導入しています。2024年7月以降、規制がさらに強化されました。
- 年間90日制限:自宅を短期貸しできるのは年間90日まで
- 商業的短期賃貸は原則禁止:住宅用物件での営利目的の短期賃貸は不可
- 建物オーナーの同意必須:90日超の場合は建物所有者の書面同意が必要
- 建物の50%以上は居住用維持:一棟丸ごとAirbnbは不可
- 罰金:違反は最大€50,000の罰金または2週間の拘禁
ウィーン市は専門の調査チームを設置し、違法な短期賃貸物件を積極的に取り締まっています。Airbnb投資を考えている場合は、ウィーンは避けた方が無難です。
じゃあ、ウィーンで不動産投資するなら長期賃貸一択ですか?
基本的にはそうです。短期賃貸は規制が厳しすぎてリスクが高い。ウィーンは賃貸需要が安定しているので、長期賃貸で3〜4%の利回りを堅実に稼ぐ戦略がおすすめです。空室率も低く、テナントの質も高いですから。
ウィーン投資のメリット・デメリット
- 固定資産税が極めて低い(月額約€10)
- 空室リスクが低い(賃貸需要安定)
- 政治・経済が安定、不動産市場も堅調
- チロル州より外国人規制が緩やか
- 世界最高水準の住環境(8年連続「世界一住みやすい都市」)
- 非EU市民は土地委員会の承認が必要
- ゴールデンビザ制度がない
- 短期賃貸(Airbnb)は厳しく規制
- キャピタルゲイン税30%(長期保有でも非課税にならない)
- 利回りは3〜4%と控えめ
結局、どんな人に向いている投資ですか?
「派手なリターン」より「安心・安全」を重視する人です。ウィーンの魅力は「世界最高レベルの住環境に資産を持てる」こと。自分や家族が将来住む可能性も視野に入れながら、長期で保有する投資に向いています。短期転売やAirbnb運用を考えている人には向きません。
よくある質問
郊外エリアなら€150,000〜200,000(約2,400〜3,200万円)程度から物件は見つかります。中心部は€400,000(約6,400万円)以上が現実的。購入コスト5〜11%を加算して予算を組んでください。
はい、可能です。ただし非EU市民はウィーン土地委員会(MA35)の承認が必要で、手続きに3〜6ヶ月かかります。一般的な住宅用アパートは比較的承認されやすいです。
外国人投資家にはウィーン一択です。チロル州(キッツビュール、インスブルック)は外国人のセカンドハウス購入がほぼ不可能。ザルツブルクも規制が厳しめです。ウィーンは外国人に寛容で、市場規模・流動性ともに圧倒的です。
現実的には難しいです。2024年7月から規制が強化され、住宅用物件での商業的短期賃貸は原則禁止。自宅の貸し出しも年間90日までに制限されています。違反すると最大€50,000の罰金があり、取り締まりも厳格です。
可能ですが、非居住者・外国人向けのローンは条件が厳しめです。頭金は20〜50%程度必要で、オーストリア国内に所得がある方が審査に通りやすいです。金利は2025年時点で約3.2%です。
まとめ
ウィーン不動産投資は、安定性と居住環境を重視する投資家に最適な市場です。
- 外国人(非EU)は土地委員会の承認が必要、3〜6ヶ月
- 中心部€10,000〜30,000/㎡、郊外€4,000〜6,000/㎡
- 購入コストは5〜11%、固定資産税は月額約€10と低い
- チロル州より外国人規制は緩やか
- ゴールデンビザ制度はない
- 短期賃貸(Airbnb)は厳しく規制、長期賃貸が基本
- 利回りは3〜4%、安定性重視の投資向け
「買って、長く持って、将来は自分も住むかも」——そんな投資スタイルの人にとって、ウィーンは非常に魅力的な選択肢です。
※本記事は情報提供を目的としており、特定の不動産物件の購入を推奨するものではありません。
オーストリア不動産投資には税金・法規制があります。投資前に必ず現地の弁護士・税理士に相談してください。